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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)2760号 判決

控訴人(原告)

庄本幸雄

ほか一名

被控訴人(被告)

荻野謙次

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人は、控訴人庄本幸雄に対し金一一五六万〇四五三円、控訴人庄本ムツに対し金一一四一万〇四五三円及び右各金員に対する昭和五四年一月三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決と仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び立証の関係は左記に付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。ただし、原判決五枚目表六行目の「その余は不知。」を削除する。

(主張)

一  控訴人ら

被控訴人は、輝幸の運転する被害車がその進路前方に停車中のバスの後部に追突し、その左側の中央車線上に転倒するのを、五四・一七メートルないし二九・一七メートル手前(右輝幸の転倒地点までの到達時間に換算すれば、被控訴人車の時速が五〇キロメートルとして三・九秒ないし二・一秒)で発見したのであり、被控訴人車の時速五〇キロメートルにおける制動距離は一四メートルを超えないから、輝幸転倒地点の手前で十分に停止できたものである。

二  被控訴人

控訴人らの右主張事実は否認する。

(証拠)〔略〕

理由

一  当裁判所は、控訴人らの本件請求はいずれも理由がなく失当として棄却されるべきものであると判断するが、その理由は左記に付加、訂正するほかは原判決理由説示のとおりであるからこれを引用する。

(一)  原判決七枚目表一行目の「証人三浦洋」の下に「(原、当審)」を、同二行目の「被告本人尋問の結果」の下に「(原、当審)」を、同三行目の「認めることができ、」の次に「当審証人坂上正夫、当審における控訴本人庄本幸雄の各供述も右認定を覆すに足らず」を、同七行目の「被告車より」の次に「やや」を、同八行目の「前方を」の次に「それぞれ川崎方面から」をそれぞれ加入する。

原判決八枚目裏三行目の「り、その方法によつては危険が」を「るにもかかわらず、被害車は右バスを追越すために必要な進路変更の合図、中央車線上の後行車の動静確認、あるいは速度を落し停止しようとする態度もなかつた(右事実は前記認定の本件事故の発生状況に弁論の全趣旨を総合し認定しうる。)のであるから、被控訴人としては被害車につきなんらかの不測の事態の」と改める。

(二)  控訴人らは、被害車がバスに衝突した当時、そこから、被控訴人車は相当の距離にあつたから被控訴人は輝幸との接触を避け得た筈である旨主張するが、当審証人三浦洋の証言によれば、却つて被害車がバスに衝突して投げ出された時には、被控訴人車はその直前といつてよい程の近距離にあつたものと認められるのであつて、当審でのその他の証拠によつても、右控訴人の主張を認めるに足らないから、右主張は採用できない。

二  よつて控訴人らの請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 田中永司 安部剛 岩井康倶)

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